2024年5月26日放送の『日曜日の初耳学』でゲストの草彅剛さんのインタビューがありました。
草彅剛さんの全盛期から現在までの軌跡と仕事への情熱や葛藤が語られています。
この記事では、初耳学の過去ゲストを個人的にバックナンバーとして残すために、草彅剛さんのインタビューの内容を書き起こしています。
厳密な書き起こしではなく、自然な形になるようにしていますので、気になる方は読むのをご遠慮ください。
- 草鷺剛さんのSMAP全盛期と今
- 香取慎吾さんとした2人芝居『burst!〜危険なふたり~』のエピソード
- 韓国語とホテルビーナスについて
- 最新映画『碁盤斬り』について
- 草彅剛の過去の葛藤とブレイクのきっかけ
初耳学の過去ゲストのバックナンバー|草彅剛
インタビュアー:林修
SMAP全盛期と今
草彅剛
全盛期のことはもう覚えていないくらいです。
でも幸せなことに、演技の仕事はもしかしたらその全盛期で忙しかった時よりも役が多いかもしれません。舞台やドラマ、映画など、最近はベッドflixなどの新しいコンテンツもあり、台本を1年中手放さずに生活しています。
何か1つ終わる頃には新しい役が来て、その忙しい中でもYouTubeやTikTokにダンス動画を投稿しています。
林修
それはすごいですね。動画を撮るのは簡単なんですか?
草彅剛
はい。ぱぱっと撮れるんです。ダンススキルがあるので。
ナレーター
草彅剛がYouTubeで発信する「踊ってみた」動画は、アイドルユニット「フリーピーナッツ」の「ピンママンボーン」などで、そのキレッキレのダンスが話題となり、再生回数は驚異の1700万回を超えました。
そのダンススキルは一目見るだけで魅了されますが、その原点はSMAP結成当初の中学時代にあります。当時小学6年生だった香取慎吾がこう語っています。
香取慎吾
ずっと踊ってましたね。お互いの家に行っては泊まり、夜中を通り越して朝まで、下手したら次の日の昼まで2人で振り付けをしていました。
このパートは僕、次のパートは君みたいに1曲の振り付けを完成させ、間違えたらもう1回頭からやり直し。間違えないで終わるまで帰れませんでした。
ヘロヘロになりながらも、間違えたら怒り合って、最後には大爆笑していました。でも今思えば、本当にいい訓練でした。
ナレーター
SMAPのメンバーの中で最年少だった2人は、今も昔も変わらず特別な存在です。特に絆が深まるきっかけとなったエピソードについて、草彅剛がこう語ります。
草彅剛
ほんとにシンゴちゃん(香取慎吾)は困った時にいつもそばにいてくれて、リラックスさせてくれる存在です。
僕たちはいつも一緒で、何か心配事があっても2人で乗り越えられる気がします。昔、衣装のサスペンダーが足りなかった時も、2人でなんとか乗り切りました。
2人芝居『burst!〜危険なふたり~』のエピソード
ナレーター
SMAP結成当初から共に36年の時を過ごしてきた親友、香取慎吾との共演で話題となった三谷幸喜作品の舞台裏についても話が及びます。
林修が初演した2015年と再演した2022年の2人芝居『burst!〜危険なふたり~』。2人が電話のやり取りのみで爆弾を処理するというユニークな脚本・演出の作品です。
林修
何がきっかけでこの作品に出演されることになったんですか?
草彅剛
ラジオでシンゴちゃんと2人芝居をやりたいなと言ったら、ファンの方が三谷さんに伝えてくれて、本当に三谷さんが書いてくれました。
それがもう名作なんですよ。林先生、ぜひとも見てください。
林修
三谷さんというと、いたずらをすることで有名ですが、具体的に何かありましたか?
草彅剛
いや、特にないですね。僕らに関しては。
ナレーター
舞台でいたずらはなかったものの、三谷幸喜に対してこう言っています。
草彅剛
三谷さん、シンゴちゃんとめちゃめちゃ仲良しなんですけど、シンゴちゃんの電話番号を知らなくて。
僕の電話番号を知ってシンゴちゃんと連絡する時、僕にわざわざ中継してもらうんです。それがすごい面倒くさくて。
二人はあんだけ昔からの知り合いなのに、距離感って絶妙ですよね。
ナレーター
草彅剛に対しては、香取慎吾からまだ本人にも伝えていない不満があるそうです。それは、ドラマ初主演の「いい人」を機に世間に浸透したイメージについて。
香取慎吾
「いい人」のイメージがあるけど、実は変わった人ですよ。困った人ですよ。撮影現場に持ってくる荷物が多すぎる。中身は本人に聞いてみてください。
林修
何を持っていくんですか?
草彅剛
台本とかカバンの中にカバンが入ったりして、とにかくなんか入れちゃえばいいっていうズボラなんです。1年前の台本が出てきたり、ギターをどこでも持っていったり。
ギターが大好きで、スイッチが入っちゃうんです。でも10年以上やってるのにFコードが抑えられないんです。
家では抑えられるんですけど、ステージに立つと抑えられない。それがすごく悔しいです。
林修
第三者から見れば、すごく努力しているように見えますけど。
草彅剛
僕は努力してないですね。嫌なことはやらないので。楽しいからやってるだけです。好きなことはとことん追求しないと気が済まない。
韓国語とホテルビーナスについて
ナレーター
そしてその「好き」がきっかけとなり、30歳の時に出演した映画『ホテルビーナス』と出会います。
草彅剛
(韓国語で話してから)今は時間がなくて最近はできていないんですけど、頑張りたいですね。韓国の方だったら聞き取ってくれるし、当時もすごくハマっていて、番組もやっていました。
10年近く続けていて、韓国の俳優さんが本当にたくさん好きで、そういう方とたくさん対談させてもらって、2004年とか2006年とかは吸収できる時代でした。
林修
全編韓国語というのは大チャレンジに見えますが。
草彅剛
楽しかったですね。自分でチャレンジするつもりはなくて、楽しくてやっていた感じです。努力しているつもりはないんです。楽しいからやっている。好きなことなら辛くないし、続けられます。
ナレーター
楽しみながら習得した韓国語で挑んだ『ホテルビーナス』は、モスクワ国際映画祭で最優秀作品賞を受賞。草彅剛の演技を世界が認めました。
そんな草彅剛が新たに挑戦した作品が、現在公開中の時代劇映画『碁盤斬り』。冤罪事件によって娘と引き裂かれた主人公、柳田格之進が、武士の誇りをかけて復讐に挑む物語です。
草彅剛の最新映画|碁盤斬り
草彅剛
最近は若い方とか、時代劇離れなんて言われていますけど、絶対に若い方にも見ていただきたいです。
若いイケメンの中川くんも出ているので、頑張っています。若い子にも見てもらえるんじゃないかと思います。
林修
本当に大御所ばかりですが、國村隼さんはすごいですね。
草彅剛
そうですね。演技のスタイルがやっぱり國村さんならではというか。
大先輩なのに國村さんのお芝居、かっこいいですねって言うのはおこがましいんですけど、僕、自分のセリフしか読まないんですけど、国村さんのセリフはいつも長いんです。
行だけ見て長いなと思うんですが、国村さんと実際にお芝居すると、長セリフなはずなのに自然に演じられるので、もう自分のセリフになっちゃう。
自分のセリフを言うのを忘れるくらい自然に演じられます。
ナレーター
今回、撮影現場での草彅剛の強さを探るため、『碁盤斬り』のスタッフにアンケートを実施したところ、スチールカメラの担当者からこんな証言がありました。
林修
撮影も終盤に差し掛かった頃、カットが終わるごとに「しびれる」とおっしゃっていたそうですが、どういう意味ですか?
草彅剛
よく口にしますね。いいシーンが撮れた時に「あ、しびれる」と言うんです。
ストレス発散の一つとして「しびれる~」って言います。撮影所に入ると朝から夜までいることが多くて、狭い空間で息が詰まる感じがあるので、「しびれる~」ということで開放感を味わっています。
林修
なるほど、意味があるんですね。
草彅剛
そうですね。
草彅剛の過去の葛藤とブレイクのきっかけ
ナレーター
今では自然体で撮影現場に臨み、俳優という仕事を心から楽しんでいる草彅剛。過去にはこんなこともありました。
草彅剛
芸能コースだったんですが、3年間無欠席で。
当時、グループの中で主役をやったのが僕が最後でした。SMAPのメンバーが次々と連続ドラマの主演を張る中、自分にはオファーが来ないと焦っていた時期がありました。
自分よりかっこよくて、渋くて、歌が上手かったり、ダンスが上手かったり。でも自分の不完全なところが自分の個性になっていくんじゃないかと思っていました。
ナレーター
数々の恩人が草彅剛を支えてくれた中、25歳の時、ある演出家から受けた教えが今でも人生の指針となっています。
林修
きっかけになったと思う出来事は、今振り返って何だったのでしょうか?
草彅剛
やっぱりたくさんの恩師と巡り合えたことがブレイクのきっかけになっていると思います。
25歳の時に『蒲田行進曲』で出会ったつかこうへい先生との出会いも、たくさんの活動をするきっかけになりました。演技の面で大きな影響がありましたね。
演技の扉を開いてくれたというか。後にも先にもない、そんな舞台でした。
ナレーター
25歳の時に出演した舞台『蒲田行進曲』。演出のつかこうへいが放った一言が、俳優、そして人間、草彅剛の人生を大きく変えるきっかけとなりました。
「君の中には魔物がいる。そこがすごくいい。感情の扉を開こう。」
草彅剛
売れない役者の話で、どこか自分の気持ちとそのヤスという役に重なる部分がありました。つか先生がうまく口立てで進行して演出をつけてくれるので、自分の気持ちを全て舞台に注ぎ込みました。
ナレーター
舞台で演じた役者、その境遇がSMAPの中での自分と重なり、その当時感じていた焦りなど、ありのままを吐き出すことができました。
未完成な自分について
草彅剛
今もそういうところが繋がっていて、僕は未完成なんですよ。
完璧な人なんていないんですけど、つか先生やヤスを演じたことによって、不完全な部分やその人なりの個性が輝くんだと教えてもらいました。
特に若い時は完璧なものを求めがちですけど、この役をやったことによって、足りない部分や不完全なところが自分の個性になっていくんだと思いました。
演技してても完璧な演技なんてないと思うんです。そう考えると気持ち的にも楽になるし、生きる上でも完璧じゃなくてもいいんだと思えました。
つかさんから学んだことは、演技だけじゃなくて生き方にも通じます。
ナレーター
周囲に比べて完璧にできない自分にコンプレックスを抱いていた草彅剛ですが、今はその不完全さを自身の個性と捉えています。
だからこそ、草彅剛は気負うことなく、自然体でいられるのです。
つかこうへいは後に『蒲田行進曲』を再演する際、別の俳優にヤス役を託すことについて日記にこう記しています。
「俺たちの前には草彅剛のヤスが山のように立ち上がっている。勝てるわけがないのは承知だ。」
この役で草彅剛を超える役者は今後出てこないと、この演出家に言わしめたのです。
インタビュアー林修による時代のカリスマ草彅剛のインタビューの総括
『日曜日の初耳学』で放送されたインタビュアー林修による草彅剛のインタビューをまとめました。
- 演技の仕事は全盛期より忙しい。
- 草彅剛のダンスはキレキレ。
- キレキレダンスの下地には香取慎吾との学生時代の猛練習があった。
- 草彅剛が現場にもってくる荷物の量が半端ない。
- 韓国語の習得は「好き」が続いたから。
- 最近の映画現場での口癖は「しびれる」だった。
- SMAPの中でドラマ主演は最後だった。
- ブレイクのきっかけはつかこうへいさん演出の『蒲田行進曲』のヤス役。役と重なる部分が多く自分を解放できた。
- 草彅剛は自分の不完全さや未完成なところを受け入れて個性にしている。
草彅剛さんの人柄がよくわかったインタビューでしたね。自然と応援したくなるような人だと思いました。
好きなことに没頭するところや、未完成で不完全な自分を受け入れ個性にするところが印象的でした。